「こんなにお金がかかるなんて思わなかった…」
これは、私の知人が親の介護を始めて最初にこぼした言葉です。
彼の母親は82歳。元気に暮らしていましたが、ある日転倒して骨折。
入院後、自宅に戻ったものの、トイレや食事の介助が必要になり、急に在宅介護がスタートしました。
「なんとかなる」と思っていたのに、気づけば毎月7〜10万円の出費。
さらに数年後、認知症が進行し、施設入居を決意。
しかし、特養(特別養護老人ホーム)は満員で入れず、有料老人ホームに…
そこでは入居費 50万円、毎月の費用 20万円、、、。
彼はこう言います。
「親の老後資金はそこそこあったけど、介護費用でどんどん消えていく…」

このように、介護は突然始まり、想像以上にお金がかかります。
では、実際に在宅介護と施設介護ではどのくらいの費用が必要なのか?
シミュレーションを通して、具体的に解説していきたいと思います!

【介護費用の基本】どれくらいかかるのか?

介護にかかる「生涯費用」の平均
公益財団法人 生命保険文化センターの調査(2022年)によると、
毎月の介護費用は平均7.8万円。
介護期間は 平均4年7ヶ月(約55ヶ月)で、この期間にかかる費用を合計すると
介護にかかる生涯費用は 約550万円 という計算になります。
さらに長期化すると1000万円以上になることも。
ただし、この金額は介護の方法によって大きく変わります。
介護には在宅介護と施設介護の2つの選択肢があり、それぞれでかかる費用や負担の種類も異なるためです。
では、在宅介護と施設介護では、具体的にどのような違いがあるのでしょうか?
以下の表で、それぞれの費用や特徴を比較してみましょう。
介護の種類と費用の比較表
介護の種類 | 内容 | ⭕️メリット | ❌デメリット | 月額費用 | 生涯費用 |
---|---|---|---|---|---|
在宅介護 | 訪問介護(ヘルパー)、デイサービス、訪問看護などを利用。住宅改修(バリアフリー化)が必要な場合も。 | 住み慣れた環境で過ごせる。家族との時間が増える。費用を抑えやすい。 | 家族の負担が大きい。介護者のストレスが蓄積しやすい。急な体調悪化で対応が必要。 | 5万~10万円 | 平均400万~800万円(要介護度により変動) |
施設介護 | 特別養護老人ホーム(特養)、介護付き有料老人ホーム、グループホームなど。 | 24時間体制の介護を受けられる | 費用が高額になることが多い | 7万~30万円 | 平均700万~1,500万円(施設によって大きく異なる) |
🏠 在宅介護の費用シミュレーション

介護の費用は、要介護度によって大きく変わります。
軽度と重度に分けて見ていきましょう。
📌 要介護1~2(軽度):月額2~5万円
【状態】
- 軽度の介助が必要(歩行補助・食事・入浴など)
- 日常生活はある程度自立しているが、支援があると安心
- 訪問介護やデイサービスを週1〜2回程度利用
【主な費用】
項目 | 費用目安 |
---|---|
訪問介護(週1~2回) | 5,000円~2万円 |
デイサービス(週1~2回) | 5,000円~2万円 |
介護用品(おむつ・歩行補助具など) | 5,000円~1万円 |
合計(月額・生涯介護費用) | 2~5万円/110~250万円 |
【特徴】
- 介護サービスの利用が少なく、月額費用は比較的低い
- 家族の負担はそこまで大きくないが、今後の介護に備える必要がある
- 要介護度が進行すると費用が増加するため、長期的な資金計画が必要
📌 要介護3~5(重度):月額10~20万円
【状態】
- 認知症が進行し、24時間見守りが必要になることも
- 食事や排泄の介助が必須、寝たきりの可能性も
- 訪問介護やデイサービスの利用回数が増加
【主な費用】
項目 | 費用目安 |
---|---|
訪問介護(週3~5回) | 2万円~5万円 |
デイサービス(週3~5回) | 2万円~6万円 |
訪問看護 | 5,000円~2万円 |
介護用品(おむつ・介護ベッドなど) | 1万円~3万円 |
住宅改修(バリアフリー化) | 10万円~50万円(初期費用) |
合計(月額・生涯介護費用) | 10~20万円/312~930万円 |
【特徴】
- 介護サービスの利用が増え、毎月の費用が大きくなる
- 家族の負担が激増し、介護離職や共倒れのリスクも
- 在宅介護の限界を感じ、施設入居を検討し始めるケースが多い
🏢 施設介護の費用シミュレーション

施設介護を選ぶ場合、施設の種類によって費用やサービス内容が大きく異なります。
どの施設が自分や家族にとって最適なのかを判断するために、まずはそれぞれの特徴を比較してみましょう。
📌 施設介護の種類と特徴の比較表
施設の種類 | 特徴 | 費用の目安 | ⭕️メリット | ❌デメリット |
---|---|---|---|---|
特別養護老人ホーム(特養) | 公的施設で、要介護3以上が対象。費用が比較的安い。 | 月7万~15万円 | 費用負担が少なく、長期入居が可能。 | 入居待機者が多く、入居まで1年以上かかることも。 |
介護付き有料老人ホーム | 介護スタッフが24時間常駐し、手厚いケアが受けられる。 | 月15万~30万円+入居一時金 | 充実した介護サービスを受けられる。 | 費用が高額になりやすい。 |
グループホーム | 認知症の方を対象とした少人数制の共同生活施設。 | 月10万~20万円 | 少人数制で家庭的な環境。 | 認知症の診断が必要で、受け入れ条件がある。 |
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | バリアフリーの賃貸住宅で、生活支援サービスがついている。 | 月10万~25万円 | 自立度が高い高齢者向けで自由度が高い。 | 介護サービスは別契約のため、介護度が上がると対応が難しくなる。 |
介護療養型医療施設(介護医療院) | 医療ケアが必要な高齢者向けの医療機関併設施設。 | 月15万~35万円 | 医療ケアが充実し、終末期の対応も可能。 | 一般的な施設より費用が高額で、施設数が限られる。 |
この表から、施設の種類によって費用に大きな差があることがわかります。
今回は、特別養護老人ホームに入居した場合の介護費用をシュミレーションをしていきます!
📌 特別養護老人ホーム(特養)の費用目安
項目 | 費用目安 |
---|---|
入居一時金 | 0円(公的施設のため不要) |
施設利用料(家賃・管理費・食費) | 7万円~15万円/月 |
介護サービス費 | 2万円~5万円/月 |
医療費(通院・薬代) | 5,000円~2万円/月 |
介護用品(おむつ・日用品など) | 5,000円~1.5万円/月 |
合計(月額・生涯介護費用) | 10~20万円 / 550~1,100万円 |
介護費用に備える方法
介護には想像以上の費用がかかるため、早めの準備が重要です。
そこで、今からできる3つの対策を紹介します。

🔵介護保険・民間保険を活用し、負担を減らす
- 公的介護保険だけではカバーしきれない費用に備え、民間の介護保険も選択肢に入れる。
- 介護度が上がった際の保障内容を確認し、必要なプランを検討する。
🔵介護にかかる費用を事前にシミュレーションし、家族で話し合う
- どのくらいの費用が必要かを試算し、在宅介護と施設介護の選択肢を考えておく。
- いざという時に慌てないよう、家族と早めに計画を立て、意向を共有しておく。
🔵iDeCo・NISAを活用して、長期的に資産を増やす
- 税制優遇を活かしながら、老後資金とともに介護費用の備えを進める。
- 少額からでも積み立てを始め、長期的な資産形成を意識することが重要。
まとめ
「こんなにお金がかかるなんて…」
介護が始まると、多くの人がそう実感します。
ある日突然、親の転倒や病気をきっかけに介護が必要になることも。
その時になって慌てないように、事前にシミュレーションし、準備しておくことが大切です。
在宅介護と施設介護、それぞれにメリット・デメリットがあり、どちらを選ぶかは家族の状況次第。
でも、早めに考えておけば、選択肢も広がり、より納得のいく決断ができます。
介護はお金だけでなく、心の準備も必要。今からできることを、少しずつ始めていきましょう!

📌 いざという時に困らないために、今できる準備を
介護は突然やってくるもの。
でも、事前にシミュレーションし、準備しておけば、選択肢を広げることができます。
お金の不安を減らし、家族みんなが納得できる選択をするために、今からできることを少しずつ始めていきましょう!
そして、介護費用の準備には、効率的な資産形成も大切なポイントです。
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